Keiのバフについて
1.バフの設計思想について(2020.9.6更新)
1)基本的思想
応力集中機構付きバフを発売したのは、2000年前後です。
当時は、タオルバフとウールバフが混在している時代だったと思います。
塗膜研磨は、塗膜に付いている傷を消すために、バフとコンパウンドとで、もう少し浅い傷を付けて既に付いている傷を次の工程の、より浅い傷に置き換える行為の繰り返し(詳説は研磨についての理論参照)です。きれいに速く研磨するためにバフに要求される能力は、研磨力があるのに研磨後に残す傷(バフとコンパウンドによって付くバフ目)が浅くて均一なことです。前者は、目標とした傷が深くても消すことの可能性を約束し、後者は次の工程での傷の消しやすさを招来します。
一般的にバフの表面素材は、研磨力が大きければ大きい程、バフ目が深く入り、残す傷が深くなる傾向があります。毛バフにおいては、繊維が太ければ太いほど、硬ければ硬い程、スポンジバフにおいては表面素材が、硬ければ硬いほど、肌理が粗ければ粗い程、研磨力が大きくなりますが、残すバフ目は深くなります。この様な特徴から、バフの研磨力を高める目的で表面素材を操作すれば、研磨力を上げれば上げるほど、残すバフ目が深くなるのが一般的です。そこで、研磨力を、塗膜面に直接接触する表面素材で操作することなく、接触しない押圧力伝達部材で稼ぐことを考え、その表面素材の裏に、輪切りの蓮根の様に多数の穴の空いた軟質ゴムのディンプリングボード(応力集中板)を設けてその凸部にかかる押圧力を集中倍加することによって研削力を飛躍的に高め、研磨力と浅いバフ目(ツヤ)との両立を可能にしたバフがディンプリングバフ(特許、改良特許出願中)のシリーズです。表面素材の設計は、残る傷の深さを浅くすることのみを考えれば良い分けですから、設計の自由度が飛躍的に広がります。
2)派生的思想
この応力集中の設計思想は、「表面素材自体に研磨力のあるものを用いた場合には、力を集中させない様にそれを塗膜に接触させなければならない」という逆の原理を導出します。深いバフ目が入ったり、噛み込んだ傷を残さないためです。メリーウール、スモールメリーにおいて、羊毛の大きな研磨力を生かしながら、塗膜面へのソフトな接触を実現するために、バフ本体部の素材の柔らかさを保ったままの皮革の補強と起毛布の接着加工を行うことで、大きな研磨力と噛み込んだ傷の少なさを両立しました。更にシフォンバフSとケーキSバフソフトにおいては、動力伝達部材の前面周縁部にニゲの隙間を形成(実用新案)し、塗膜面に表面部をソフトに接触させることを可能にして、究極の浅いバフ目を実現しました。
また、応力集中板の伝達部を持つバフ表面部は、素材の更なる研究・開発によってシルキーメインへと進化しました。糸から考え直し、織り方を工夫して、実験を重ねた結果、「ウール素材の研磨力の根拠が、スケール(キューティクル)が被研磨面に強い摩擦を発生させることにある」ことを発見し、塗膜面に、これを強く接触させる方法(特許出願中)を考案し、バフの表面素材に利用することが出来た、画期的なバフです。
従来のバフの2倍ほどの研磨力を持ちますが、糸自体の太さは細いものを使用しているので、残すバフ目の深さはより浅くなります。
ロングウールは、元来、ランダムアクションポリッシャToiX用に開発されたウールバフです(もちろんシングル回転ポリッシャにも使用できます。)。バフ表面の糸を長く、解(ほつ)れて、切れやすいものを利用して、リングマーク(ピッグテールマーク、あし)を入りにくくしたものです。なぜ、その必要性があるのかというとToiXは通常のシングル回転ポリッシャと違い、研磨力が多少劣るので、これが深く残ると、次の工程のスポンジバフでそのリングマークを消し残す恐れがあるからです。
2.バフの種類について
2、1、素材による分類
弊社のバフは、大きく分けて表面素材の性質(毛を持つか否か)から、毛バフとスポンジ(ポリウレタンフォーム)バフ、布バフに分類されます。
1)毛バフ
毛バフはスポンジバフより研磨力が大きい上、塗膜面のトレース能力が高い(商品の選び方1.1.トレース能力について 参照)ため、ペーパー目・傷消し、肌調整などの初期工程または初期工程に近い工程に使用します。
- ディンプリングメインバフⅢとディンプリングスノウボード(組み合わせて使用します。)
- ディンプリングメインバフⅢとディンプリングソルトボード(組み合わせて使用します。)
- ディンプリングシルキーメインとディンプリングプチスノウボード(組み合わせて使用します。)
- メリーウール
- スモールメリー
- ロングウール
- ディンプリングスノウミニⅡ
- スイングメリー(80)
2)スポンジバフ
スポンジバフは毛バフより研磨力が小さく、ツヤが出るため、傷の置き換え工程や仕上げ工程などの終了工程、またはそれに近い工程に使用します。
- ディンプリングケーキM
- パンプキンS
- シフォンバフS
- ディンプリングケーキS・ハード
- ケーキSバフ ソフト
- ディンプリングケーキミニ
3)布バフ
主として肌調整に使用します。
- ディンプリングスムースメインとディンプリングプチスノウボード(組み合わせて使用します。)
2、2、使用パッドの大きさによる分類
1)Mai・MaiⅡ・MaiⅢ用ディンプリングパッドφ147用
- ディンプリングメインバフⅢとディンプリングスノウボード(組み合わせて使用します。)
- ディンプリングメインバフⅢとディンプリングソルトボード(組み合わせて使用します。)
- メリーウール
- ディンプリングケーキM
2)Mai・MaiⅡ・MaiⅢ用ディンプリングパッドφ125用
及び Toi・ToiX・ToiZ用スタンダードパッドφ125用
- ディンプリングシルキーメインとディンプリングプチスノウボード(組み合わせて使用します。)
(Toi・ToiX・ToiZには構造上不可) - スモールメリー
- ロングウール
- パンプキンS
- シフォンバフS
- ディンプリングケーキS・ハード
- ケーキSバフ ソフト
3)SeiA用ディンプリングミニパッドφ75(5/16)用
Toi miniX・Toi miniZ 用マジックパッドΦ72用
- ディンプリングスノウミニⅡ
- ディンプリングケーキミニ
- ディンプリングシフォンミニ
- スイングメリー(80)
2、3、運動方法による分類
1)Mai・MaiⅡ・SeiAなどのシングル回転ポリッシャ用
- ディンプリングメインバフⅢとディンプリングスノウボード(組み合わせて使用します。)
(SeiAには大きさで不可) - ディンプリングメインバフⅢとディンプリングソルトボード(組み合わせて使用します。)
(SeiAには大きさで不可) - ディンプリングシルキーメインとディンプリングプチスノウボード(組み合わせて使用します。)
- メリーウール(SeiAには大きさで不可)
- スモールメリー(SeiAには大きさで不可)
- ディンプリングケーキM(SeiAには大きさで不可)
- ロングウール(SeiAには大きさで不可)
- パンプキンS(SeiAには大きさで不可)
- シフォンバフS(SeiAには大きさで不可)
- ディンプリングケーキS・ハード(SeiAには大きさで不可)
- ケーキSバフ ソフト(SeiAには大きさで不可)
- ディンプリングスノウミニⅡ(Mai・MaiⅡ・MaiⅢには大きさで不可)
- ディンプリングケーキミニ(Mai・MaiⅡ・MaiⅢには大きさで不可)
- ディンプリングシフォンミニ(Mai・MaiⅡ・MaiⅢには大きさで不可)
- スイングメリー(80)(Mai・MaiⅡ・MaiⅢには大きさで不可)
2)ToiX・ToiZ・Toi miniX Toi miniZなどのランダムアクションポリッシャ用
- ロングウール(Toi miniX・Toi miniZには大きさで不可)
- パンプキンS(Toi miniX・Toi miniZには大きさで不可)
- シフォンバフS(Toi miniX・Toi miniZには大きさで不可)
- ディンプリングケーキS・ハード(Toi miniX・Toi miniZには大きさで不可)
- ケーキSバフ ソフト(Toi miniX・Toi miniZには大きさで不可)
- ディンプリングスノウミニⅡ(ToiX・ToiZには大きさで不可)
- ディンプリングケーキミニ(ToiX・ToiZには大きさで不可)
- ディンプリングシフォンミニ(ToiX・ToiZには大きさで不可)
- スイングメリー(80)(ToiX・ToiZには大きさで不可)
以上