商品の選び方について(2020年8月28日改定)

弊社商品の選び方の簡単なヒントをお伝えいたします。
理論的側面にも通じるところがあります。
具体的には、これを読まれた後、
ダウンロードページ5の「研磨システム工程表」(2020年8月変更)や商品リストページをご覧ください。
(順次、改訂していきます。)

1.バフの研磨能力には2つの側面がある

1.1.トレース能力について

傷を消す場合はバフのトレース能力(塗膜の凸凹と、傷の深い浅いに従って忠実に追従する能力)が重要になるのに対して、肌調整をする場合は非トレース能力が重要になります。塗膜の肌を調整する場合を考えますと、その場合は、その山のみを削り取りたい分けですから、バフやコンパウンドが強い力で衝突、摩擦することが必要で、山にも谷にも忠実に接触する能力は必要ないことになります(図1参照)。塗膜はそこに実在する分けですから、実在する山の部分を除去する能力が必要となる分けです。この場合に、バフは出来るだけ、凸凹に沿って運動しにくい曲がりにくいものが理に適っていますし、コンパウンドも大きな砥粒の方が良い分けです。

図1

それに対して、傷を消す場合は違います。私たちは慣用の表現で「傷が付く」と言いますが、傷は「肌の山部」の様に実在し付着しているものではなく、その部分だけ塗膜が存在しない消極的な状態です。したがって、傷を消そうと思ってもそこに存在しない傷に働き掛けることが出来ないので、傷を構成する壁に働き掛けることになります。バフには毛があり、コンパウンドを塗膜の傷の壁や最奥部に届けることが出来る柔軟性が必要です。コンパウンドの砥粒の大きさも余り大きいものだと傷の根本まで届かないので傷が消せないことになります。

図2

鈑金塗装業の現場で、肌が落とせる能力は、同時に傷(ペーパー目)も消せると考えていると、「肌は落ちたのに、傷(ペーパー目)が残っていて、後から出てきた」ことに驚く場合がありますが、理由はこのためです。

以上のことを踏まえて、バフの研磨力を比較します。

1.2.傷(ペーパー目)を消す場合のバフの研磨力の大小

メリーウール=スモールメリー>メインバフⅢ+ディンプリングスノウボード=ディンプリングシルキーメイン+ディンプリングプチスノウボード>メインバフⅢ+ディンプリングソルトボード≧ロングウール>シフォンバフS>ディンプリングケーキM≧ディンプリングケーキS・ハード>パンプキンS>ケーキSバフソフトの順番で研磨力(傷を消す場合)が小さくなります。

1.3.肌調整をする場合のバフの研磨力の大小

スムースメイン+ディンプリングプチスノウボード>メインバフⅢ+ディンプリングソルトボード>メインバフⅢ+ディンプリングスノウボード>ディンプリングシルキーメイン+ディンプリングプチスノウボード>スモールメリー≧メリーウール>ロングウールの順番で研磨力(肌調整時)が小さくなります。

ここで、注意したいことは、傷(ペーパー目)を消す場合の研磨力の大小と、肌調整をする場合の研磨力の大小とで、バフの順番が変わっていることです。メインバフとディンプリングボードとの組み合わせが非トレース能力のため、肌調整に向いているということです。 更にスムースメインは、肌調整専用に開発したバフです。

1.4.研磨後に残る傷の深さ

バフによって、残る傷の深さや均一性は製造方法により、ある程度操作が出来ます。 例えば、メリーウールとスモールメリーとは、毛皮を利用していて表皮のスケール(キューティクル)が強い摩擦を発生させるので、研磨力が大きい代わりに若干の深い傷が入りやすい特性を持ちます。メインバフは羊毛素材ですが「わた」を糸にし、揃えてあるので比較的残る傷は浅く、均一になります。ロングウールはほつれやすい糸の状態にしてあるため、噛んだ傷が入りにくく、傷が浅い特徴があります(バフの減りは早いです)。噛みこんだ傷が入るか否か?は別として、おおよその、残る傷の深さを基準に順に並べると次の様になります。

メリーウール=スモールメリー>メインバフⅢ+ディンプリングソルトボード >メインバフⅢ+ディンプリングスノウボード=ディンプリングシルキーメイン+ディンプリングプチスノウボード>ロングウール>スムースメイン+ディンプリングプチスノウボード>ディンプリングケーキM≧ディンプリングケーキS・ハード>シフォンバフS≧パンプキンS>ケーキSバフソフトの順に残る傷が浅くなります。

2.コンパウンドの研磨力と粒径

2.1.弊社コンパウンドの砥粒の粒径

傷(ペーパー目)を消す場合と肌調整をする場合とでは分けて考えなければなりません。弊社のコンパウンドの砥粒の粒径の大きさはおおよそ次の様になります。概して、肌調整をする場合は大きな粒径のコンパウンドが有利です。

Bodycom Zo BLack 20~30μ
Bodycom 0Ⅲ BLack 10~20μ
Bodycom 1st Neo BLack 5μ前後
Bodycom 1st 5μ前後
BLendia 2nd+ 0.2~0.5
BLendia 2nd= 0.2~0.5

砥粒が大きい方が研磨力が大きいと考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。

2.2.砥粒が小さくても研磨力がある場合と組み合わせ

1)一般の補修塗膜において、傷(ペーパー目)を消す場合に

#1000を含めそれ以上に細かい番手のペーパー目であれば、Bodycom 1st Neo BLackとメリーウールまたはスモールメリーの組み合わせが、Bodycom Zo BLackとメインバフⅢ+ディンプリングスノウボードの組み合わせよりも早くペーパー目を消せます。

2)自己修復塗料に当てた#1500~#3000ほどのペーパー目を消す場合に

メリーウールまたはスモールメリーとの組み合わせで、Bodycom Zo BLackを使用するよりもBodycom 0Ⅲ BLackまたはBodycom 1st Neo BLackを使用した方が早くペーパー目を消せます。Zo BLackでは砥粒が大きいにも関わらず、バフ目が深くの残る上、傷はほとんど消せません。

研磨作業のコツは、「塗膜面にコンパウンドを少しづつ点け、バフはあまり負荷を掛けずに1500回転/分以上の速度で回すことと、ポリッシャの移動スピードはゆっくりと。」です。

3)外資系の高硬度クリヤの場合 #1500~#3000ほどのペーパー目を消す場合に

塗膜が十分に締まっていると、メリーウールまたはスモールメリーを使用しても、ディンプリングシルキーメイン+ディンプリングプチスノウボードまたはメインバフⅢ+ディンプリングスノウボードを使用しても、Bodycom 0Ⅲ BLack以上の大きさの粒径のコンパウンドを用いないとペーパー目がなかなか消えません。理由は、硬いクリヤの場合は#1500ほどの浅い傷でも、塗膜側が硬いために、肌とある程度、同視するほどペーパー目が深いものと計算して、研磨しなければならないからです。Bodycom Zo BLackの傷はある程度深いので、Bodycom 0Ⅲ BLackをお勧めします。

3.ポリッシャの研磨力について

MaiⅢ>ToiZ>ToiX jrとなります。この違いは、ウールバフのバフ目を消す工程で意味を持ってきます。

ToiZ とToiX jr(販売終了)はフリーの軸を持つランダム(ダブル)アクションに、駆動力伝達クラッチ機構によって研磨力を与えたポリッシャ(日、中、韓。米他計11カ国で特許取得) で、バフなどとの組み合わせによって、ある程度の研磨力を持ちます。

前工程で、ウールタイプ(メリーウール、スモールメリー、メインバフⅢ、シルキーメイン、ロングウール)のバフと組み合わせたコンパウンド(弊社のすべてのコンパウンド)の傷は、すべて次工程で、シフォンバフSと組み合わせたBodycom 1st Neo BLackによってToiZ  を用いて消すことが出来ます。すべての塗膜でToiZ  を用いて消せますが、外資系高硬度クリヤ、国産耐スリ・セルフリストアリングコート、日産スクラッチシールドに於いてバフ目が消えにくい場合は、ToiZの工程の前に、MaiⅢ(シングル回転)とウールタイプのバフ+Bodycom 1st Neo BLackを間につないで傷を更に浅くするか、ToiZ の工程を更に何度も頑張って行ってください。

尚、不思議なことですが、シフォンバフSとBodycom 1st Neo BLack、ToiZとの組み合わせは、同バフとコンパウンドとMaiⅢの組み合わせよりも、研磨力が良好です。改良されたクラッチの能力のためです。

 この研磨力を用いればオリジナル(新車)塗膜の場合に、1工程で研磨と仕上げを同時に行うことも可能で、コーティングの前処理としての研磨作業などは著しく速くなります。1工程目はBodycom 1st Neo BLackとシフォンバフS、ToiZにて磨きます。ツヤも良好で多くの傷を消すことができます。この方法で、消えなかった傷のみを選択してウールとシングルを用いて消し、その部分のみ、更にToiZの工程で仕上げます。すべての塗膜面にウールバフを当てることをしないので、研磨作業時間は半分以下に減ります。

 

                              以上