修理の流れ

  1. 修理品の到着
  2. データを記録
  3. 診断書への記載
  4. 洗浄します
  5. 見積もりの作成
  6. 見積もりに対する回答をもらう
  7. 修理と組立
  8. 修理の完了
  9. 発送

受け取る。

被修理品の到着

基本的に、カスタマー様から、販売店様が預かった被修理品が、運送会社によって運ばれて、到着いたします。弊社は人手が少ないため、販売店様(代理店様)に発送や受け取り、付属品の確認や簡単な不具合検査を協力して、頑張って行なってもらっています。

到着した被修理品を記録。データを送信。

コンテナに移動 / コンテナのホテル

届いた被修理品は、直ちにスマートフォンにて記録され、そのデータが事務局と私とにメールされます。

この記録が弊社における、彼(被修理品)の再出発までの居場所を特定します。内容は、到着日、彼の名前、製造番号、担当販売店様名(可能なら)、カスタマー様名(可能なら)、「症状」や「依頼内容」「伝票」などです。付属品・同梱品なども写し込むようにしています。不一致や不明なことがあった場合は、代理店様に連絡して確認します。

画像データと簡単なメモ書きとを記録し、コンテナに移されます。ケヰテックにおいて、このコンテナが彼の寝泊まりする場所となります。「迅速且つ、間違いのない修理」のために必ず、修理依頼票をダウンロードしてご記入の上、ご同梱下さい。

修理依頼票はダウンロードページよりダウンロードして下さい。

診断書に記録します。

診断書への記載

診断書には、依頼内容を実現すると同時に、より効率的に長く使ってもらうには、「どこを交換、修理すれば良いのか?」を判断するための情報を記録します。病歴が載った戸籍謄本の様なもので、弊社にて末永く保存されます。内容は次の様になります。

①被修理品を特定する情報 商品名、製造番号、代理店様や販売店様、カスタマー様のお名前です。
②先回修理日や新品出荷日 記録が弊社に保存してあります。
③使用ダイヤル ギヤやその他の回転ものの減り具合と因果関係があるため診断の役に立ちます。
④修理依頼内容 修理本来の目的となります(一般的には症状と表裏一体になっています)。
⑤症状 修理依頼内容の原因である症状の再現と確認、それに関わるパーツの特定、依頼内容に含まれない客観的な状態の記述など。症状は各部品の不具合や消耗具合によって、発生している不具合の状況で、今、カスタマー様に自覚があるか否かは別です。
⑥現状使用部品 現在=出荷商品の構成部品は、開発スピードの速さから、修理時のパーツが使われていないことも多いため、どれを使用したら、最も彼が幸せになるかを考える必要があるためです。
⑦付属部品 修理完了時に一緒にお返しするパーツを忘れないようにするためと、カスタマー様がどの様な使用方法をしているかを特定する目的です。こと、ToiXなどは、バフが回転盤のバランスウエイトの役割をしていて、純正バフのみでバランスが取れるため、パッドの中央がコンパウンドで汚れていたりすれば、純正のバフを使用していないことから、バランスが狂った状態で使用されていることが分かります。弊社のバフは、中央に穴が開いていない特徴を持つからです。
⑧各部品とその消耗劣化状態 などを詳しく記述します。

例えば、カーボンブラシが残りわずかな場合に、コンミテーター(整流子、コミュテーター)の摩耗状態によっては、両者が程なく使用不能になる状況では、両者の同時交換を薦めた方が良いケースもあるからです。これは、カーボンブラシのみを交換すると中央部のみ大きく摩耗したコンミテーター(以下、コンミテーターと呼ぶ)の形状が新しいカーボンブラシの平らな接触面と一致しないために、両者の間に隙間ができ、回転時にブラシの両端のみが、ガタガタと跳ね踊って接触するために、ブラシのカーボンが少しづつ砕かて(破片が火花となり)欠け続ける結果、両者とも焼けただれて短時間で使用不能になってしまうからです。その場合に、アマチュアのコンミテーターの情報とカーボンブラシの情報とが詳しく記述してあると、近い将来、「こうなる」という予想が付き、回避する修理が可能になります。その他、コードの規格や状態、コードホルダーの状態。スイッチの接点の焼け具合、ボリュームカーボンブラシの規格と残量、各ギヤの加工方法と摩耗状態、軸受けのタイプ、アマチュアのヘリカルギヤ根本のカラーの存在と状態、スペーサー着磁コアフィルターラバーカバーの剥がれまで、徹底的に記述します。回転させた時に、発生する音やにおい、回転数の不具合の検査は、完全に分解してない状態で行います。それらの修理が依頼内容であったり、不具合の症状である場合は、回転音や回転数を確認した状態で分解し、それぞれ関係のあるパーツの不具合を調査・確認します。

分解します。

ラベルの製造番号が消えた場合のために、パーツ内部に記録してある番号。

分解して確認

テストユニットでの通電確認

コンミの状態の目視と減り具合の計測

回転数の調整

更に、「動かないこと(=動く様にする)」が修理依頼内容の場合は、動かした時には「どんな音が発生しているのか?」を調査するために、通電テスターなどで確認した動かない原因のパーツを、正常に機能する電子パーツを含んだテスト用のコードに、丸ごと嵌め替えて、動くかどうかを先ず簡単に検査し、回転する時のギヤ、モーターなどの音を確認してから、分解し、その後、怪しいパーツの通電などを詳しく調査することになります。

診断書への記録が終わったら、彼らは分解されたまま、すべてコンテナに戻り、その後、洗浄されます。この段階で、修理依頼内容に疑問がある場合には、代理店様に質問し、カスタマー様よりの回答を待ちます。

洗浄します

大半の場合、パッド・サブグリップ(これらは拭きます。)を除くすべてのパーツを徹底的に洗浄します。綺麗に洗浄した上でないと不具合が発見できない場所があり、汚れて酸化したままのグリスが残っていると、グリスを足しても十分に潤滑能力を発揮してくれないことがあるからです。

①ギヤケース内は、酸化して茶色くなったグリスをホワイトガソリンにて高圧気流噴射して、洗浄します。酸化汚泥化したグリスは、添加された新しいグリスを、程なく酸化させてしまいますし、その中に残った金属粉は新しく交換したギヤなどの金属パーツを痛めてしまうので、徹底的に除去します。

並べられた被洗浄パーツ。

グリスと金属粉で汚れた内部

きれいになります

樹脂パーツ単独は超音波洗浄機で

②樹脂パーツのみに分解できる場合、テールカバーハンドルカバーファンケーシングは、特殊な洗剤入りの超音波洗浄機を用いて洗浄します。

③全部分解しない方が良い電子パーツなどを含んだものは高温のスチームで洗浄します。この時、ケースの割れやブラシホルダの不具合などが発見できます。グリスなどの油に溶けやすい汚れとコンパウンドなどの研磨カスや垢などの水に溶け易い汚れとは洗浄方法を工夫しないと迅速、綺麗に除去出来ないので洗浄方法を3タイプに分けました。

ケース内の洗浄前の状態

ケースの外の洗浄

綺麗になったケース外

ケース内も綺麗になります。

洗浄が終わったら、すべてコンテナに戻り、見積もりが作成されます。

見積もりの作成

これらの、点検、洗浄を経て、見積もりを作成いたします。修理見積もりには、大変悩みます。不具合と言ってしまえば、新品でない限り中間ギヤファイナルギヤアマチュアのヘリカルギヤやコンミテーターのわずかな摩耗やスイッチの接点の摩耗、若干のキャブタイヤコードの酸化による硬化や、テールカバーの少しのヒビなど、「不具合」と言えないことはないからです。不具合は、程度を持った言葉だからです。そこで、カスタマー様に、どの様にすれば、被修理品の健康状態を完全に伝えられるかを考えました。依頼された分以外を、程度によって分類し、カスタマー様に選んでもらう方法しか、他にないと考えました。

①依頼された分の、症状回復に必要不可欠で直接的なものは直すことが任務です。これを「依頼分」と分類しました。「依頼分」はカスタマー様が気付いた、被修理品を、弊社に入院させた理由です。例えば、「トリガスイッチを入れても、動かない。」という内容が依頼票に記入してあったと仮定します。私たちは、動かない理由を調査分析し、「トリガスイッチを入れて、動く」様にするための直接的な因果関係のあるパーツを修理・交換する見積もりを提出します。通電をテスターなどで調べて、正逆スイッチが壊れて通電していないことが分かりました。この場合は、「正逆スイッチを交換すること」が依頼分となります。

依頼分以外の、健康状態の不具合を、ABCDの4つのランクに分けて考えます。第1に最も早く手を打たねばならない危篤状態は、そのままにしておくと、作業者や周りの人や車などの器物を傷つけてしまう恐れがある場合、つまり不具合を放っておくと「危険な状態」です。例えば、キャブタイヤコードのゴム被服が破れてしまって、銅線が見えている(感電の恐れがある)場合や、マジックパッドの面ファスナーの接着力が著しく低下している(回転させた時、バフが飛んで行ってしまう)様な場合などです。この危険な不具合をAランクとしました。この場合は、先の例えで「動かない」訳ではないから、依頼分とは言えないので、非依頼分の仲間に入れました。

次の不具合の程度は、今の状態を続けると、程なく被修理品が、二度と使えなくなる(使用するためには大半のパーツを交換しなければならない)ことが予想される場合、つまり、「不能になってしまう恐れ」がある場合です。これを、Bランクとしました。例えば、アマチュアのエナメル線コイルのワニス表面処理が、過電流を流し続けたために、高温と遠心力とで緩んで、着磁コアに引っかかる可能性がある場合(考え難いですが。)や、ギヤに大きな欠けやヒビが発見された場合などです。内部で回転時に突然損壊が起こるため、ほぼ全体にダメージが及びます。Cランクは、程無く(数か月で)、「能力の著しい低下が想像される」場合です。例えば、ギヤの摩耗、アマチュアのコンミテーターの摩耗などです。このランクを見積もりに記述する場合は、回転した時、音が若干、うるさくなる程度の不具合を再下限とするため、今、直しておかなくてもよい場合もあるので、カスタマー様の判断にお任せしたいところです。折角、修理に預けたのだから、今の機会に直すべきか、そのまま、異音が出ることを甘んじて、使い続け、ギヤなどが滑って歯が欠け落ち、噛み合わなくなるまで使うことも選択出来る訳です。

Dランクは、「その他、の便利か否か?」です。例えば、グリップのラバーカバーの取り付けや、保護用タングの取り付けなどです。前者は、握力の低下を防ぎ、後者は、テールカバーの傷を防ぎます。

これらを、分類して、見積もりを提出します。依頼分のみの場合、依頼分とA、依頼分とAB、依頼分とABC、依頼分とABCDなどの組み合わせを分類して、被修理品の症状がカスタマー様にしっかり伝わって、自由な意思で、「どこまで直すか」を選択出来る様にするためです。詳しくは「修理見積もりの書き方」をご覧ください。A・Bランクの場合には強く、修理を薦めます。

見積もり書が送信された時点で、診断、清掃、加工は多くの工程を終了しています。キャンセルを受ける場合も、たま、にあります。その場合はキャンセル料を頂いています。辛いです。

見積もりに対する回答をもらう。

カスタマー様から、代理店様を通じて、依頼分と各ランクとを組み合わせた修理の依頼をもらいます。

修理と組立

洗浄された部品や、交換部品、加工部品を利用して、依頼内容と要求された各ランク通りに組立が行われます。先ず、電子パーツやリード線・コードなどを接続し、アマチュアなどを組んだら動く様な状態にします。

アマチュアのインナーへの嵌入

コンミ研磨されたアマチュアとインナーケースとをモーターケースに嵌入

カーボンブラシの挿入

インナーケースにグリスを塗る。

中間ギヤにグリスを塗る。

ギヤケースにシーラーを塗る。

ギヤケースをモーターケースに嵌める。

ラバーカバーを貼り付けます。

回転の確認を不可有る・無しで行います。

健康になってコンテナに戻りました。

修理の完了

被修理品が、カスタマー様のご希望通りに完成しました。

発送

被修理品を点検。付属品・同梱品、被交換部品も忘れない様に、梱包します。修理内容お伝え票も添付します。

基本的に代理店様に発送して、代金を請求して、終了です。この、全工程は1ヶ月ほど掛かります。時間が長く掛かって申し訳ありません。