塗膜研磨における綺麗を考える

1.綺麗とは何か? 1.4.綺麗に磨ける理由(綺麗を作出する条件)

綺麗に磨ける理由(綺麗を作出する条件)

形式的に綺麗を定義しましたが、各々の工程で必要な条件、言い換えれば、綺麗に磨ける理由を考えておかなければ、すべての傷が最後に付けた傷のみになる状態には到底達成できません。研磨工程は「『その傷を次の工程の浅い傷に置き換えることで消す』行為の順次な繰り返し」ですから、すべての工程で、今ある傷が、次の工程の浅い傷へ、全部置き換わらなければなりません。そのために必要な条件は次の内容になります。

例えば、ある塗膜に付いたある傷(例えば2000番のペーパー目)を消して、研磨処理をして綺麗に仕上げるために、3工程を要する場合を考えます。第1工程目は、ウールバフと細目のコンパウンドを用いて研磨処理をします。その工程では、何をクリアしなければならないかというと、次の2つの目標です。一つは目標としていた2000番のペーパー目を消すことと、2つは、その研磨作業後に、第2工程目で消せる傷しか残さないことです。

第2工程目は、ウールバフと極細目のコンパウンドとを用いて研磨処理をします。その工程でも2つのクリア目標があります。一つは第1工程目で付いた傷(ウールバフと細目のコンパウンドとの組み合わせで出来たバフ目)をすべて消すことと、2つはその作業後に、第3工程目で消せる傷しか残さないことです。

第3工程目は、最終工程です。第2工程目で付いた傷(ウールバフと極細目のコンパウンドとの組み合わせで出来たバフ目)をスポンジバフと超微粒子コンパウンドとによってすべて消すことと、研磨処理をした結果が、視認出来る傷は残さないことです。この条件によって、第1工程目の研磨傷(バフ目)は第2工程目の研磨傷(バフ目)にすべて置き換わり、第2工程目の研磨傷(バフ目)は第3工程目の研磨傷(バフ目)に置き換わるために、「すべての傷が最後に付けた傷のみになる」のです。

#2000のペーパー目→第1工程目のバフ目→第2工程目のバフ目→第3工程目のバフ目と、完全に置き換わります。これが綺麗の条件となります。