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2019年10月19~20日、台湾、台北松山文化創造センターにて行われたアジア自動車塗膜研磨競技大会の技術顧問としてお招きいただいた、 第2日目 10月20日(日)の決勝戦の概要と全体を通しての所感を報告します。

2日目 決勝 10月20日(日)

1、競技内容:50名の内、上位9名の予選通過者が競いました。メルセデスベンツC300 4ドア 黒ソリッドを9台用意し、予選通過者9人で各1台を研磨・仕上げし、脱脂しました。ポリッシャ、バフ、コンパウンド、ライトなどは何を持ち込み、何を使っても自由です。

2、準備:前日の夜、スタッフ総出で、メルセデスベンツC300の4ドア 黒ソリッド9台を受け入れました。 雨だったので、大変でした。豐駿汽車國際貿易(中古車販売業)様のお配、ご協力をいただきました。ありがとうございました。

 

9台とも同一の塗色と思われていたのですが・・・・・

9台の内、2台がブラックパールであることが分かり、スタッフ全員愕然としたところ、急遽、古孟溱様のお蔭で2台の黒ソリッドのものをお借りすることが出来ました。黒ソリッドとパールでは色が違うため、同一基準で評価できないからです。胸のすく行動力と機転です。SNSを利用して、近隣のオーナーに声を掛けてくださったようです。 ありがとうございました。

 

3、競技時間:3時間30分(洗車・鉄粉取り・マスキングを含まず。この作業は仲間の方に手伝ってもらっていました。)で、研磨、仕上げ、脱脂までを行いました。

       

4、審査方法について:最高点は200点とし、審査基準と点数配分は次の様でした。

①作業態度.1020点)

服装、装備、作業手順、取り組む姿勢等

②施工完了率(1020点) 

③傷消し完了率とオーロラマーク非発生率(30100点)

車体塗膜面をA,B,C,D,E.F,G,H,I,J10か所に分け、それぞれについて(3,5,7,10点)で評価し、満点100点とする。

④トランクに当てたペーパー目のツヤの増加率(0-40点)

トランク中央部分に1500番のペーパーで 横20cm 縦10cmの均一な傷を作り、9台とも同一のツヤになるまでペーパー掛けをした後、測色計で測定しL*a* b*を記録する。その傷に対して選手が磨き、仕上げ後に脱脂したうえで、測色計で測り、L*a* b*を記録して、色差が大きいものから順に加点されます。ツヤを良好にできたからです。一番色差が大きい競技者は満点40点、2番は35点、三番は30点で、最下位は0点というように5点づつ下げて加点しました。

⑤トランクのエッジのきれいさ(020点) それぞれの車のトランクの右側上角部分のポイントを決め、磨く前に測色計で測定しL* a*  b*を記録する。選手が磨き、仕上げ後に脱脂したうえで、測色計で測り、L* a*  b*を記録、その色差が大きいほうが多く加点されます。一番色差が大きい競技者は満点20点、218点、316点、最下位は14点のように2点づつ減じた数を加点されました。 

トランクは事前に、しっかり気合を入れて磨くように伝えてありました。

 

 競技前にC300すべての車のトランクに当てた、1500番のペーパー目のツヤが、一定の値か否かを調べました。 東社長、田中社長もツヤを測色することについては熟知されていたので心強かったです。

何故、トランクを選んだかは、9台すべてで、トランクの補修(再塗装)がしてなかったからです。

9台ともオリジナル塗膜でしたので、条件が統一できたと思います。

スタッフ総出で、エッジ部を触って調べました。頑張りました。

 

優勝した王さんのハードな磨きです。

 

準優勝の李さんのちょっとハードな磨きです。

 

3位の徐さんの仕上げ磨きです。 ToiZの映り込みがきれいです。

皆さんとても上手でした。

 

IPA原液で脱脂後、オーロラの発生を、LEDライト(チップが小さくて1個しかないのでオーロラがハッキリ見えるもの)の光を用いて、目視で評価します。

審査員の福爾摩沙汽車美容協会の楊萬良会長、中丸会長、渡邊社長、鄭さんが真剣です。

周りが暗いので厳しいです。 

私が磨いたら、恐らく、オーロラが出ていたでしょう。

 

 厳しい目です。残念ながらオーロラが見えています。

 

競技終了後、研磨仕上げが終わったトランクの、再び、同一の位置を20回計測しました。 中丸会長、易さん、田中社長も真剣です。

 

5、素晴らしかったことと反省点

私が感じた、良かった点、気になった点を、お話し致します。

1)アジア自動車塗膜研磨競技大会委員会様の研磨技術の評価基準の客観性と公平性・公正性を追求されていることは素晴らしかったと思います。今後の競技会を含め塗膜研磨のきれいさの評価の手本となると思います。

2)3時間30分という競技時間については、短かったと思います。1台を丸ごと研磨仕上げするという企画は素晴らしかったと思います。 おそらく、この競技時間は、2016年6月5日 名古屋ポートメッセにおいて社団法人日本コーティング協会によって行われた コーティング技能検定一級試験を参考にしたと思われます。この試験で、プリウスの202ブラックを研磨仕上げ・コーティング加工に課された時間が、4時間でしたが、プリウスの塗膜とメルセデスベンツの塗膜とは硬さと、スリップ性が違うので、同じ時間でメルセデスの塗膜は仕上がらないと思います。更に、16年6月の試験では、プリウスのパーツの部位を特定して、そこだけ、しっかり研磨するというものでしたので、競技者は時間配分を十分に考慮できたと思いますが、今大会ではそれが無かったので大変だったと思います。唯一、トランクはきれいにするという指示があったくらいです。

おそらく、私が磨いていたら、1/3ほどしか出来なかったと思いますし、腰下はお腹がツカえて無理だったでしょう。

3)塗装されたボンネットの研磨仕上げを、目視で判断する場合、公正性を担保するため、誰が磨いたものかが、全く審査員に伝わらない方法で審査されました。 更に、公平性を担保するために、審査員が一人づつ、ローテーションして、審査員の個性が評価に強く出ないようになっていました。良く考えられていたと思います。

4)塗装されたボンネットを研磨して、 きれいさを評価する場合の測色する位置の決定方法が素晴らしかったです。 測色する回数は1個所20回としましたが、面積としては僅かな範囲なので、研磨前と研磨後の位置がずれることが無いように、ボンネットが上手に嵌る冶具を作って、そこからレーザーを照射し、位置が特定できるようになっていました。 

5)磨く技術だけでなく、安全面や磨く姿勢、作業手順、清潔さ、などについても採点されました。 これについては、特に、社団法人 日本コーティング協会様の認定試験マニュアルとスタッフの知識を、お借りしました。 ありがとうございました。

「使用機材・液剤等、設備がプロらしくあるか?

服装、髪型が清潔かどうか?

礼儀正しく気持ちのよい対応が出来ているか?(これは2016用です。)

お客様から見られて良い印象の作業が出来ているか?

作業後がキレイか? 施工時間に余裕があるか?

施工後の完成検査中の受け答えが適切かどうか?(これは2016用です。)」

など、研磨技術以外にも細かな項目があり、重要な審査項目でした。

6)優秀賞の3名とも、私の講習会を何度も受講してくれた方でした。

 弊社の商品も、使ってくれてはいましたが、何よりも、栄誉は努力と訓練の賜物に尽きると思います。更に、塗膜研磨の原理の理解が、皆様の技術の向上に少しは役に立っていることを感じて、何よりうれしく思いました。 これからも頑張ります。

皆さん、協力して良い競技大会が行えたと思います。今でも、胸が熱くなります。

アジア自動車塗膜研磨競技大会委員会のスタッフの方、協賛の方、日本コーティング協会様、エコスタイル・アンドクレアの田中社長、 クリエイティブ優進の渡邊社長、代表理事のカービューティートラスト中丸社長、易様とスタッフの方々、徳君株式会社 東社長、新里さん、それぞれの方が、知恵と能力を出し切って、実現できた競技大会だったと思います。

 同席できたことに、心から感謝します。

皆様の栄誉を称えます。真ん中に入れて頂いて恐縮します。